先日経済学史の講義にて、大学で指定された教科書で初めて分かりやすくて、歴史を学ぶのが本当に面白いと思える教科書に出会いました。経済史にうんざりしてしまう人や、歴史を学びたいけど何から手をつけていいか分からないという人に、これは本当にオススメできます。
経済学部生をすること早4.5年(間に留学や休学をはさんでいるため多少訳アリ在籍歴です)。
卒論もOK出たし、もう卒業も間近に迫ってきているわけですが、卒業に必要な単位の関係で、4年生というこのタイミングで今期経済史を履修していました。ミクロやマクロ、日本経済、世界経済etcと、ある程度普通の経済学部生をやってきたので、今更感はあります。
就活の都合で授業はほとんど出席できなかったのですが、テストに向けて指定されて教科書に沿って自学を始めたら、その教科書がわかりやすいこと。
大学の教授が書いている本なのですが、教科書っていうより普通の本みたいに読めて、結構面白く勉強を進めれたので、その本を今回ご紹介しようかと。
はじめて経済の歴史を学ぶ人に、日常に応用できる経済学の知識が身につく
その指定された教科書が、ライブ・経済学の歴史―“経済学の見取り図”をつくろうというタイトルのもので、東北大学で教えられている小田中教授が書かれたものです。講義も分かりやすいと評判の先生で、今回初めてこの方の本を読んだけれど、本当にすっと頭に入ってきました。
丸暗記じゃなくて理解を重視
この教科書の最大の特徴は、ただ経済の歴史を時系列に説明していくだけにとどまらず、
第一章:分配
第二章:再生産と価値
第三章:生存
第四章:政府
第五章:効用
第六章:企業
第七章:失業
といった、経済史を理解する上でキーとなってくる7つの概念をチャプターごとに解説していく点にあります。
誰が何をしたっていうのも重要だけど、じゃあ何故その人はそう考えたの?そう考えさせた当時の状況は?という、より深いところに突っ込んで解説してくれてます。
そして、それぞれの章は独立しているようなんだけれど、読み進めていくと自然と点と点が繋がっていくのが実感を伴って分かる。本のタイトルにもあるように、一冊読み終えた後には、おおよその経済の歴史の流れが頭の中に浮かぶようになっている。
はじめて経済学を学ぶ人にも取っつきやすい口調や言葉選び
経済の本、特に大学で指定される教科書とか参考書の言葉って偉そうに難しい単語使ってたり、口調がお堅かったりで、全然読んでても理解が追い付かないし、眠くなって全然読み終えた試しが無いんですよね。…まぁこれは私の脳みそが足りないだけかもしれないけれど。
この本は、小田中教授が読者に問いかけるように、というか講義しているかのような口語調で、経済の専門用語が分からなくても理解できる簡単な言葉選びで解説してくれるので、とっても分かりやすい。
大学入りたての1年生や2年生でもスラスラ読めちゃうし、教養本として普通に読めるものだと思う。
私も、もっと早い段階でこの本に出会っていたら、経済を学ぶのがより楽しくなっていただろうな、と思う。でも私みたいに、ある程度経済学部生やってしまった人でも、今までなんとなく学んできたことが整理されて、とても良い復習になりました。
大学の勉強ってつい日常生活から切り離された使わない知識、というバイアスがどこかにあったのですが、この本を読んでから世の中で起こっていることがちょっと身近に感じれるようになって、勉強が久しぶりに楽しいと思えました。とてもおすすめ。