デンマーク留学中の冬に鬱っぽくなってメンタルやられかけた話。
留学と聞くとなんだかキラキラしているイメージですが、当然毎日がハッピーというわけではありません。
充実しすぎててあっと言う間という人もいるけれど(それはそれで羨ましい)
特に自分の場合は、外国に1年もいたことが無かったので日本にいる時と環境が大きく変わって知らず知らずのうちにストレスが溜まっていったし、何よりも北欧の冬が想像以上長くて精神的にしんどかった。
今思うと、多分冬季うつ病にかかっていたのかも?
冬季うつって?
ヨーロッパでは、冬季うつは一般的な病としてよく知られています。というのも、ヨーロッパは緯度が高い国が多く、冬場の日照時間が極端に短い場合が多いのです。そのため多くの人々が冬季うつに悩まされており、治療に有効とされている光治療を受けられる場所が、公共施設などに備えられているそうです。
冬季うつは季節性うつ病の一つで、
一般的なうつ病に見られるような気分の落ち込みなどに加え、過食や、ずっと眠い・だるい…といった症状を引き起こす病。
冬だけ(冬から春にかけて)起こるというのも特徴。
なんで冬にうつっぽくなってしまうかというと、
冬に日照時間が少なくなることで脳内の神経伝達物質セロトニンが減少し、脳内の活動が低下してしまうんだそうです。
また、目に入る光の量も少なくなるので、睡眠に必要なメラトニンというホルモンの分泌に乱れが出て体内時計もおかしくなっちゃうんだとか。
ずっと眠いとか、だるいとか…そういう症状を引き起こす原因になってしまうんだって。
冬季うつの予防には、
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生活リズムを整えてちゃんと朝起きて日中に十分な日照時間を確保する
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ビタミン不足を解消するために食生活に気を付ける(肉や魚のタンパク質や炭水化物をしっかり取る)
などが挙げられます。
というわけで、私がデンマーク留学中になんでうつっぽくなってしまったのかという話を今日は綴ります…
夜型人間に優しくない北欧の冬
みなさんもご存じの通り、北欧諸国はヨーロッパの中で割と高緯度な位置に位置しています。
日本を中心にして考えたらどこのポジションになるのかというと、大体北海道くらいか樺太あたりかな。
私がいたのは、北欧の中のデンマークという小さな国。
北海道あたりと聞くと、
「えー、寒そう」「雪やばそう」
と思われるかもしれませんが、意外にもデンマーク
…特に私がいたコペンハーゲンなんかはそうでもないです。
デンマーク自体北欧諸国の中で一番南にあって(ドイツの真上)、冬も気温が0度くらい。
雪もそんなに降りません(留学中にちゃんと雪が積もったのって3回くらいだった気がする)。
そして、家の中は床暖房が通っているので(建物全体に温水が流れている)部屋の中はずっと暖かい。
南東北出身の私にとっては、この気候はそんなに大して日本にいる時と変わらないなぁ、ってくらい。
むしろデンマークの方が暖房設備が整っているので家の中は日本にいるときより快適でした。
じゃあ別に大した問題無いじゃんって思われると思いますが、
日本の冬との大きな違いは日照時間。
日本って夏と冬で日照時間が変わるって言ってもせいぜい2時間くらいの差ですよね。
夏は大体7時くらいに日が暮れるのに対して、冬は5時くらい?地域差があるにせよ。
デンマークはというと、この日照時間の差が夏と冬とですっごく極端!
夏は朝6時に日が昇って、なんと夜の11時まで薄明るい。
一方で冬はというと、朝の8時に日が昇ったかと思えば、3時くらいからもう日が沈み始める…
この気候夏はみんなハッピーなのですが(学校や仕事が終わっても夜まで明るいからずっと遊んでるし、全体的にみんな夏はテンション高い)、冬になると街ゆく人々の目が死んでいる。
道端で見かけたベビーカーを押すパパの目の焦点が合っていなくて、「この人大丈夫だろうか、子育てに深刻な悩みでも抱えているのだろうか…」と心配になります。
実際に北欧諸国ではうつ病の多さが深刻な社会問題になっているんですね。
日照時間の短い北欧では冬季うつ病にかかる人が多いんだそう。
そして、この冬の日照時間の短さは夜型人間の私にとって脅威だった。
昔っから夜に作業する方がはかどるタイプだったので、夜明けくらいに就寝するのが習慣化している筆者。
よく周りの人間には生活リズムが乱れているやつと思われていますが、そんなことはなくて、朝方寝る代わりに起床する時間が人よりも遅め。大体昼の11時くらい。
そんな規則正しい生活を送っているので、なんか早寝早起きの人よりも身体は丈夫な気がします。
しかし、デンマークの冬は、朝方に寝てお昼に起床したかと思えば3時くらいに日が沈み始める…
1日に太陽に浴びた時間が3時間だけ…みたいな日々が続きました。
ベジタリアン気味の生活
あっちではシェアハウスだったので基本的にご飯は自炊していたのですが、当時はベジタリアン気味の食生活を送っていました。
まず、ヨーロッパでは野菜がすんごく安くて、にんじん1キロ100円とかザラなんですね。
物価が高いといわれる北欧でも、品種にも寄るけど野菜やフルーツは日本に比べて圧倒的に安かった。
奨学金とバイトのカツカツ生活だったし旅費も貯めたいと思っていたので、節約のため野菜ばっか食べてました。
まぁ野菜は元々好きだからいいんだけど。
そして、ヨーロッパに来てから(特に北欧では顕著なのかもしれないけれど)、オーガニックとかベジタリアンの人向けとか、そういう類の商品がたくさんあって、周りにもベジタリアンやビーガンの人が普通にいました。
当時私もフードサプライに興味があって、自分で色々調べたりドキュメンタリー映画を観ていたりしたんだけど、それで食肉市場の闇を知ってしまい、肉を食べる気がしなくなってしまった。
スーパーで精肉のパックを見ても、うげーって感じ。
それで、しばらく肉を食べない生活が続きました。
不思議と野菜ばかり食べていたら肌の調子が良く、気分も穏やかだった気がする。
友達はいるけど精神的にひとりぼっち
ヨーロッパに来たばかりの時は、新しい人に会ったり、新しい文化に触れたり…毎日が新鮮で充実していました。
わりと性格的に合理的なところがあって、日本特有のマナーや慣習に不満があることも多かった。
例えば、
「なんで能力に差が無いのに自分の歳が2個下ってだけで下にみられるの?」
「英語を話すときはタメ語なのに日本語になった瞬間敬語で相手との距離感が生まれる関係」
「お世辞を並べて相手の調子を伺う」
とか…まぁ、全部が全部悪いってわけではないけれど、基本的にムダだなぁと感じることが多かった。
ヨーロッパに来て(ヨーロッパの国に寄っても違いはあるけれど)、こういうストレスが少なくなったので「あぁ生きやすいな~」って感じていた。
だけど、時間が経つにつれて文化や生活習慣、考え方の差っていうのが見えてきた。
あー自分はアウトサイダーだな、って。
留学始めてすぐは他国のポジティブ面しか見れなかったけれど、生活に慣れてネガティブな面も見えてくるようになった。
それと同時に今まで気づけなかった日本の良いところも分かった。
でも、このときはその文化の違いを割り切って考えることがまだできなくて、精神的にひとりぼっちだなぁ、と感じることが増えた。
大げさな表現かもしれないけれど、日本とヨーロッパの板挟みの状況にいるみたいな。
こういう要因たち(他にも色々と細かい出来事があるけれど)が絶妙なタイミングで重なり、12月から2月くらいまで本当にメンタルやられかけた。
真っ暗な部屋で何もやる気が無くて、ショパンを聞いて涙を流す…みたいな日々 笑
病院には行っていませんがこのときの身体や精神の状態を振り返るとちょっと冬季うつっぽかったかなぁ、と。
北欧の冬は長かった。
でも、家一人で引きこもりがちだった中、友人たちが食事に誘ってくれたり、憂さ晴らしに弾丸ロンドン旅行に行ったり…
気乗りしないこともあったけれどやっぱり誰かと会うことでその時はネガティブなことが忘れられた。
春になるにつれて日も長くなっていき、「あと○○日で日本帰れるー!」なんてカウントダウンしていたら、自然とまた調子が出てきた。
当時はつらかったけれど、この暗い暗い冬の経験はきっとこれからバネになってくれるんじゃないかな。
みなさんくれぐれも、冬はお日様の光を浴びてお肉はほどほどに食べてくださいね。