今回ご紹介するのは仙台にある純喫茶の星港夜(シンガポールナイト)。マスターが学生時代にヨーロッパで飲んだ珈琲を再現したこだわりの珈琲と尻尾まで餡子が詰まったたい焼きが名物の小さな喫茶店です。素敵なアンティーク家具に囲まれて過ごす幻想的な夜のひと時はいかが?
絶品の珈琲を味わいながら、穏やかな光に包まれた空間の奏でる幻想的なメロディに浸って
あてもなく仙台の街を歩いていて、そういえば数年前に行ったこの喫茶店があったなぁ、とふと思いだして立ち寄ってみた。
ちょうど二年前か三年前だったかなぁ、クリスマスの時期に友人と夜に訪れたんだっけ。その時は店内には、一人で読書に耽る男の人と若いカップルの二組がいた気がする。当時はアンティークのインテリアが新鮮に感じて、それから長髪のマスターも印象的だった。
こだわりの珈琲は、その日の気分に合ったメロディから選んで
特別に珈琲について詳しいってわけでもないけれど、ここの店の珈琲は本当に美味しい。
マスターが学生時代にヨーロッパの古いカフェで飲んだ珈琲を再現した味だそうで、仙台のある小さな豆屋で特別に作ってもらっているんだそう。
濃さが選べるんだけれど、薄さによって呼び名が違っているの。夜想曲(ノクターン)、月の光、珈音(カノン)、運命、無伴奏といった順でだんだんと濃くなっていくようで。なんか、その日の気分にあった曲を選んで流すようで素敵ですよね。
尻尾まで餡子が詰まったサクふわのたい焼きと共に
珈琲は、「濃い」の珈音をオーダー。
運命と無伴奏も気になってはいるんだけど、一番初めに珈音を頼んでそれがとてもしっくりきたものだから結局今回もこれを頼んで…っていうわけでまだ飲んだことがない。笑
そして、珈琲にとっても合うのが名物のこのたい焼き。運ばれた瞬間香ばしい匂いがふわっと漂う。外がサクサクで、それで尻尾まで餡子が詰まっていて、添えてある生クリームとの相性も抜群。
ちなみにマスターがいるときは、ミニ大福がついてくる。
ヨーロッパの素敵なアンティークのインテリアに囲まれて、この珈琲とたい焼きを味わいながらのんびりと過ごす。この日はお客さんがあまりいなくて、ゆっくりと読書に耽ることができた。
みんなの秘密の交換ノート
席には可愛らしいポップなデザインのノートとペンが置いてあって、誰でも自由に書き込めるようになっている。
一人で来た人、友人と、恋人と来た人、各々が思い思いにたわいもない日常の出来事を書き込んでいる。日記や落書き、ポエム、秘密や悩み…それらはどれも些細なことばかりだし、それを書いている人は名前も顔も知らない他人なのだけれど、その人の手書きのメッセージを読むと、彼・彼女たちがここで過ごした時間がなんとなく想像できる。
人のあったかさが感じられるこの空間。
帰り際に少しマスターとお話をした、自分の地元の話とかヨーロッパの旅行のこととか。私が数年ぶりに来たんですーと言ってみたら、もしかしたら数年後に店を閉めてしまうかもしれないとおっしゃっていた。年末年始もずっと営業しているから是非またどうぞって。
帰りの仙台の街はクリスマスのイルミネーションの光と色で溢れていた。でも、アーケードを歩いている人の表情の奥にはなんとなくどこか満たされない寂しさや虚しさが垣間見えた気がする。
何もかもが便利になって、モノにも不自由しないし、SNSなんかでいつでも誰かと繋がっていることが容易な時代だと思う。だけども、なんかもっと大事なものをみんな見失っている気がするんだよなぁ。
その大事なものはぼんやりとしていて、言葉で表すのがすごく難しいけれど、この日この喫茶店に行ってその小さな欠片を拾った気がしました。
純喫茶 星港夜(シンガポールナイト)
〒980-0011 宮城県仙台市青葉区上杉1丁目12−1
022-222-2926
http://singaporenight.da-te.jp/