コペンハーゲン市内のChristianshavnの港湾に位置する『Nordatlantens Brygge』は、フェロー諸島、グリーンランド、アイスランド、その他北欧諸国のアートや文化を体験できる文化施設。中には、ギャラリーやカフェ、レストラン、北欧雑貨を扱うデザインショップなどが併設されています。
古い歴史を思わせる建物は、昔から今まで貿易の中心として機能
今から200年以上前の1760年代に建てられたこの建物は、かつてグリーンランドをはじめとした北欧諸国との貿易の中心地として機能していたそうです。現在はそういった貿易などを扱う公的な機関としての機能を存続しつつ、加えて、北欧のアートや文化の発信の地としての役割も担っています。
厳選された北欧のアイテムを取り扱うデザインショップ
建物の前にたてられた手書きの看板が私たちを出迎えてくれます。そして、エントランスを抜けると、すぐそこには北欧の雑貨を扱うデザインショップが。
ニットやセーターといったお洋服に、機能性に優れたシンプルなデザインのインテリアや小物、北欧のアートに関する本、ポストカードなどなど、厳選されたアイテムたちが並んでいます。
また、デザインショップ内にはカフェも併設されています。ショップ・カフェの大きさは決して大きくありませんが、温かみのある照明に包まれた、このこじんまりとした空間では、外の寒さを一瞬忘れてホッと一息つくことができます。
北欧出身のアーティストの作品を展示するギャラリースペース
デザインショップやカフェの他に、グランドフロアと1階がギャラリースペースになっており、北欧出身のアーティストの企画展が頻繁に行われています。
企画展に出しているアーティストは、マイナーな方から有名な方まで。また、扱っている作品のジャンルも油彩、アクリル、写真、インスタレーションなど様々です。
こちらの上2つの作品は、8月28日から10月16日まで開催されていたアイスランドとフィンランドで活動するアーティストHansina Iversenの企画展『Dissonant Thought』から。
芸術における「模倣」という概念を否定した、シンプルな線と色がつくりだす関係性を主張する彼女の作品。
彼女の多くの作品にはタイトルがつけられておらず、私たちが正面から作品に向かい合うことで、図形の形、くっきりと描かれた線、深みのある色…といった物事の本質を見つめ直すきっかけを与えてくれます。
次の3つの作品は、現在開催中のアイスランドのアーティストRúríの企画展『Fragile Systems』から(2017年2月5日まで)。
インスタレーションや、写真、サウンドスケープなど幅広いジャンルの作品が展示してありました。
時計、重り、エッグタイマー、地図、本など、日常にありふれたものたちが天秤にかけられたり、測りに乗せられている作品には、遊び心が感じられるその一方で、これらは全て人間がその土地の生活に適応しようとした結果生み出された物差しだということに気づきます。
この対象たちがつくりだすバランス・アンバランスの関係は、現実世界での私たちの生活や、それを取り巻く環境にも関係しているのかもしれませんね。
ギャラリーの展示は定期的に入れ替わるので、こまめにホームページをチェックしておくといいですよ♪
外に設置された謎の多角形の建物の中に広がる世界は…
そして、Nordatlantens Bryggeの外にそびえ立つ謎の多角形の物体。
実はこれ、アーティストのTróndur Paturssonによって手掛けられたインスタレーションなのです。
ペイントとガラスを用いるのが特徴の彼の作品。この多角形の建物の中の壁は全面が鏡で覆われて、その壁には鮮やかな青のペイントが施されています。合わせ鏡の効果によって何重にも壁が反射し、まるで宇宙の中にいるかのよう。
この小さな建物の中におさまっているとは思えないほど、無限に広がる空間の美しさに思わず息を飲んでしまいます。
こちらのインスタレーションは年間を通して鑑賞することが出来ますが、いつ終わるか分からないのでお見逃しの無いように!
Nordatlantens Brygge
Strandgade 91
1401 Copenhagen K
Tel. +45 3283 3700
Fax +45 3283 3701
bryggen@bryggen.dk